大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和38年(オ)964号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人小川利明の上告理由第一点について。

本件記録を検討しても、被上告人が第一審の口頭弁論期日において債務を承認し、時効の利益を放棄したという所論主張の事実を認めることはできない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、前提を欠く主張であつて、採ることができない。

同第二点について。

上告人の主張では、コロナ燃焼工業株式会社の申請にかかる本件仮差押決定により、その仮差押決定の取消判決が確定するまでは、上告人の被上告人に対する債権の行使が妨げられているが故にその間本件時効は進行を停止したというのであるが、右は民法一五八条乃至一六一条所定の停止の事由にあたらないことは明らかであるから、所論は採用できないし、また、右仮差押により本件時効が中断したと主張するものだとしても、右仮差押決定が取り消されていることは上告人自ら陳述するところであるので前提を欠くといわなければならない。結局、原判決に所論の違法はなく、論旨はとることができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例